「どこからがハラスメント?」と悩むあなたへ~言葉を変えて信頼の土台を築く方法~

ハラスメント対策

「相手のためと思って指導したのに、ハラスメントと言われたらどうしよう……」

今、多くの中小企業経営者や管理職、人事研修担当の皆様が、部下へのアプローチに葛藤を抱えておられます。

言葉選びに怯え、必要な指示や改善点の指摘すら躊躇してしまう。そんな悪循環から抜け出し、強固な信頼関係を築くための「言葉の変え方」をお届けします。

目次

届かない正論、すれ違う心の背景(共感:Pains)

「最近の若い世代は打たれ弱い」

「ハラスメントと言われると思うと、まともな教育ができない」

「退職されたら困るので強く言うことができない・・・」

このような声を多くの経営者さん、管理職の方からお聞きするのですが、このような声は年々多く聞かれるようになってきました。

リーダーとしての責任感が強ければ強いほど、「早く戦力になるように育てなければ」「ミスを正さなければ」と焦るものです。

しかし、どれだけ正しい「正論」であっても、相手の心が閉じていれば、それはただの「攻撃」として受け取られてしまいます。心理学の観点から見れば、人は「安全・安心」を感じられない環境では自己防衛の本能が働き、他者からの指摘を敵対的なものと捉えやすくなります。つまり、ハラスメント問題の多くは、言葉の内容そのもの以上に、その根底にある「心の安全性の不足」が原因なのです。

すべての指導は「受容」と「感謝」から始まる(気づき:Insight)

では、どうすれば相手の心を開き、適切な指導を届けることができるのでしょうか。その鍵となるのが、講演や研修でお伝えしている「ペップトーク(元々はアメリカのスポーツ現場で試合前に監督が選手を励ますスピーチ)」の思想です。

ペップトークでは、何かを要求したり行動を促したりする前に、必ず「受容(事実の受け入れや相手への理解)」のステップを挟みます。ビジネスの現場に置き換えるなら、指示、命令、あるいは改善点を指摘する前に、まずは相手の「存在」や「これまでのプロセス」を受け入れ、感謝を伝えることから始めるのです。

言葉の順番を変えて「信頼の土台」を築く(解決策:Action)

例えば、提出された資料に修正点があったとき、いきなり「ここ、間違っているから直して」と伝えるのは避けた方が賢明です。

なぜなら相手が「自分の事を否定された」と感じる恐れがあるからなのですが、その傾向はここ最近どんどん増していると感じています。

「ただ訂正の指示をしただけなのに?」と思われる方も多いのではないでしょうか?

特に私を含め昭和世代の方にとっては「そんなの当たり前」という感覚だと思います。ところが最近はその「当たり前」がどんどん変化していっています。こちらとしては早く修正してほしいから、できていないところを指摘した。しかし相手は自分の全てを否定されたと受け取ってしまう。

なので、そうではない事を先に示す必要があるのです。

その方法として今までなら「当然」と思って、言葉にしなかったことを、言葉にして伝える。

例えば

「忙しかっただろうに、時間通りに資料を準備してくれてありがとう(感謝・受容)。」

「丁寧にまとめようとしてくれたのが伝わるよ(承認)。」

「君なりの考察や視点は面白いね(承認)。」

などの、これまでならあって当然と思っていたような事を言葉にして伝える。

このひと手間が、否定ではなく承認として相手に届く。

その上で、もっと良くなるために

「この数字の根拠を最新のものに変えてもらえるかな?(指示・提案)」

「グラフを入れて直感的に理解しやすいようにしてほしいんだ。」

などのようにと伝えるのです。

人は「自分には価値がある」と思えたときに初めて、困難を克服する一歩を踏み出せると私は考えています。リーダーから受容や感謝の言葉を日常的に掛けられている部下は、「自分は認められているんだ」という確信を持つことができる。この確信こそが、組織における「信頼の土台」となります。

受容が創る組織の未来(未来:Vision)

土台がしっかりと築かれていれば、その後に多少厳しい改善点の指摘や指示があったとしても、部下はそれをハラスメントではなく、「自分を成長させてくれる期待の表れ」として前向きに受け止めるようになります。

言葉の順番を「受容・感謝⇒承認 ⇒ 指導・提案」へと変えるだけで、ハラスメントのリスクは劇的に減少し、部下の主体性は見違えるほど高まります。

ハラスメント対策とは、決して「何も言えない冷め切った職場」を作ることではありません。お互いの可能性を信じ切り、認め合い、前を向いて進むための「温かく、力強い場づくり」です。

まずは今日、目の前の部下に「いつもありがとう」「助かっているよ」という一言を伝えることから始めてみませんか。

あなたのその温かい一言が、部下の背中を押し、組織の空気を変え、ひいては会社全体の未来を明るく照らす確かな第一歩となります。

一緒に、誰もが輝ける組織を作っていきましょう!

私が大切にしているのは、「講演・研修で終わり」にしないこと。現場に戻ってからこそが本番だと考え、実際の変化と成果につながる関わりを心がけています。

お困りごとがあれば、まずはお気軽にこちらからご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

一般社団法人ひとみらい共育LABO代表理事、一般財団法人日本ペップトーク普及協会理事、プロコーチ、講演家、みどり整骨院院長。ペップトーク、心理学とコーチングを融合した独自メソッドにより、組織の「心理的安全性の向上」と「自律型人材の育成」を支援。経営者やリーダーが発する「言葉」の質を変えることで、離職率の低下やチームの生産性向上に寄与する研修講演をしている。
年間多数の企業研修・講演に登壇し、現場の痛みがわかる実践家としての視点と、心に火をつけるペップトークの技術を融合させた講義は「現場が即座に活性化する」と定評がある。

目次