5月病を防ぐリーダーの言葉——ペップトークでチームの停滞を止める

長い連休が終わった翌日、「なんだか体が重い」「職場に行く気になれない」という感覚、あなたのチームメンバーも感じているかもしれません。
特にG.W明けにはいわゆる「5月病」と重なってより顕著に症状が出てしまうのかもしれません。

目次

リーダーとして知っておきたい、主なサイン

😶 無気力・モチベーション低下
 仕事に対して「やる気が出ない」状態。仕事が手につかない。

😴 倦怠感・疲労感
 よく眠れない、朝起きられない、体が重い感覚。

💬 コミュニケーション減少
 いつもより口数が少ない、返信が遅い、表情が暗い。

⚡ 集中力の低下
 ミスが増える、会議で上の空、作業ペースが落ちる。

こういったサインを「甘え」「怠けている」と捉えてしまうと、関係が崩れてしまうことがあります。大切なのは、まず「そうなのか」とそのまま受け入れること。それが、ペップトークの第一歩「受容」です。

なぜリーダーの「言葉かけ」が5月病対策になるのか

脳は「責められている」と感じた瞬間、防御モードに入ります。いくら正しいことを言っても、心のドアが閉まっていれば届きません。だから、最初の一言が大事なのです。

一方、存在を認められ、気持ちを受け取ってもらえたとき、人の心は安心・安全な状態になり、次の言葉が届く余裕が生まれます。
ペップトークが大切にしているのはまさにこの「心のドアを開く」プロセスです。

日本ペップトーク普及協会では相手の心に届く言葉がけの技術として以下の4ステップの言葉がけを推奨しています。

❶受容 → ❷承認 → ❸行動 → ❹激励

5月病対策で特に意識したいのは「❶受容」と「❷承認」の言葉かけです。

4ステップの言葉がけ

❶受容 ― まず「そうだよね」と受け取る
【受容とは?】
相手の状況と感情を、そのまま受け入れること。評価・判断せず、「そうなんだね」とただただ受け止めること。これが心のドアを開ける鍵になるのです。

受容には2種類あります。

・状況受容:相手が置かれている状況を言葉にして受け取る
 例)「GW明けって、なかなかエンジンかからないよな」

・感情受容:相手がその状況で感じている気持ちを受け取る
 例)「気持ちが乗らない日もあるよな、わかるよ」

受容のポイントは、「共感の言葉+自分の経験」を添えること。「リーダーの自分も経験した」と伝えることで、メンバーは「責められていない」と感じ、心を開きやすくなります。

▼ プッペトーク vs ペップトーク 比較

【元気がなさそうな部下へ】
❌「だらだらするな!気合い入れろ!」

✅「なんか顔が重そうだな。GW明けはそうなるよな、わかるよ。」

【仕事が手につかない様子】
❌「また集中できてないの?しっかりしてよ。」

✅「集中しにくい日ってあるよな。俺も連休後はきつかったよ。」

チームの成績、会社の将来を守る立場のリーダーとしてはとにかくちゃんと動いてほしい。
自分が若手の時にはだらだらしていたら喝をいれられたものだ。
だから厳しく言わなくては!
このように思われる方も多いのではないでしょうか?わかります。
私も昭和の育ちですから。

ただ、今はそのようなコミュニケーションではついてこない部下もいます。
場合によってはハラスメントと訴えられてしまうことも・・・。

だからこれからの時代のリーダーは部下指導、コミュニケーションをアップデートしないといけないのです。

そして、それができたら、それはリーダーのあなたにとって強力な武器になります。
自分の為、部下の為、会社の為にも、ぜひ身に着けていきましょう。

❷承認 ― 「見方を変える」言葉で勇気を渡す

【承認とは?】
日本ペップトーク普及協会では
・状況、感情のとらえかたを変えるとらえかた変換
・無いものではなく、相手がすでに持っているものに目を向けること
の2種類の承認と、それぞれの対象を状況、その時の感情、人への印象の3つとしています。

承認

今回、連休明けで「やる気が出ない」「いつもより動きが鈍い」ように見える部下に対してはあるもの承認で考えてみたいと思います。

あるもの承認とは、無いもの、欠けているところは認めつつ、相手がすでに持っているものや、できていることに言葉で光を当てることです。
5月病で気力が落ちているとき、人は「自分はダメだ」「役に立てていない」という思考に陥りやすくなります。
そこにリーダーが以前にお伝えした「存在・行動・結果」のどこかに光を当てる言葉をかけることで、メンバーは「自分はここにいていいんだ」という安心感を取り戻します。

▼ 承認のピラミッド(存在・行動・結果)

・存在承認:いるだけで価値があると伝える
 例)
「君がいるから、チームが落ち着くんだよ。」
「気力が出ない中でも出社してくれてありがとう」
「頑張って仕事しなきゃと思ってくれているんだね。」

・行動承認:努力・プロセスを認める
 例)
「遅刻することなく出社してくれているね。」
「連休明けにと言っていた資料を出してくれているね。ありがとう。」

特に5月病の時期には、結果が出ていなくても使える「存在承認」と「行動承認」を意識して言葉にしてみましょう。

承認のピラミッド

❸行動ー相手にしてほしい行動を伝える

行動のパートでは相手にしてほしい行動を伝えるのですが、大切なことは「今、この瞬間に相手ができる行動を言葉にする」ということ。

例えば連休明け無気力な部下に
「さっさと切り替えて、今日中に1件契約取ってこい!」
このような言葉は部下にとってストレスになってしまいます。
(※但し、このような言葉の方でもストレスにならなくて、むしろやる気が出るという人もいるので、そこは見極めが必要です)

それよりも
「今月君の目標は○○だったよね。それに少しでも近づくために今の君にできる行動を考えてみよう。もしわからないことや悩む部分があればいつでも相談してくれ。」

これならほとんどの人ができる行動なのではないでしょうか?

❹激励ー背中の一押し
このパートではその時の相手の状況、状態に合わせて言葉を選択します。
受容⇒承認⇒行動までのパートの言葉で前向きになれたようであれば
「さぁ、頑張ってやっていこう!」のように強めに押す。

まだ前向きになれていないようなら
「少しずつ感覚を戻していけばいいよ。」
のように優しく押す。

このように使い分けることがポイントです。

受容⇒承認⇒行動⇒激励を使った例

ペップトークの4つのステップを意識した、実際の職場シーンごとの言葉かけ例をご紹介します。

ケース①:朝、元気がなさそうなメンバーに

【受容】
「GW明けって体が重いよな。気持ちが戻ってこない感じ、わかるよ。」

【承認】
「それでも今日ここに来てくれているよね。君がいるとチームがチームが安定するんだ。」

【行動】
「今日は無理せず、できるところから一つずつやっていこう。」

【激励】
「一緒にリズムを取り戻していこう。」

ケース②:チーム全体への朝礼での一言

【受容】
「GW明け、まだ気持ちが戻りきってない人もいるよな。そうだよな。当然だよ。」

【承認】
「それでも今日ここに集まって、顔を合わせてくれていること。それがこのチームの強さだよ。みんなには感謝している。」

【行動】
「今週は焦らず、まず一日一日を丁寧にやっていこう。」

【激励】
「このチームなら、絶対に大丈夫。徐々にギアを上げていこう。」

リーダーの言葉が、チームの5月を変える

5月病対策に特効薬はありません。でも、リーダーがメンバーの気持ちにそっと寄り添う「受容」の言葉を届け、「あなたはここにいていいんだよ」という「承認」の言葉をかけ続けることで、チームの空気が静かに変わっていきます。

ペップトークは特別なスキルではありません。「そうだよな」「わかるよ」「ありがとう」——日常の言葉を、ほんの少し意識して選ぶことから始まります。

あなたの言葉が、部下の「よし、やってみよう」につながりますように。

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この記事を書いた人

一般社団法人ひとみらい共育LABO代表理事、一般財団法人日本ペップトーク普及協会理事、プロコーチ、講演家、みどり整骨院院長。ペップトーク、心理学とコーチングを融合した独自メソッドにより、組織の「心理的安全性の向上」と「自律型人材の育成」を支援。経営者やリーダーが発する「言葉」の質を変えることで、離職率の低下やチームの生産性向上に寄与する研修講演をしている。
年間多数の企業研修・講演に登壇し、現場の痛みがわかる実践家としての視点と、心に火をつけるペップトークの技術を融合させた講義は「現場が即座に活性化する」と定評がある。

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